理想とこだわりが詰まった注文住宅は、長く良い状態を保ちたいものです。しかし、地震大国の日本では、大地震により住宅の倒壊や損傷が発生するケースも多く、耐震性能という地震への対応力は決して見過ごせる要素ではありません。
震度6や7を超えるような大地震にも負けない強い家とはどのような家でしょうか。こちらの記事では、住宅の耐震性能の確認方法から、等級の違いによる効果の違いや費用について詳しく解説していきます。
耐震性を高めるための対策と家屋の脆弱性
阪神・淡路大震災では多くの家屋が倒壊し、耐震性の重要性が再認識されました。旧耐震基準の家屋や経年劣化、増改築により耐震性が低下し、地震の揺れに対して脆弱な住宅が多く存在します。
◇耐震性の重要性と阪神・淡路大震災の教訓
阪神・淡路大震災では、多くの人々が建物の倒壊によって命を落とすという悲しい事実がありました。この震災は、建物の耐震性がいかに重要であるかを私たちに痛感させました。特に、震度6強以上の揺れに耐えられなかった多くの住宅が被害を受け、その後の建築基準法の見直しに繋がりました。
新建築基準法が施行される前に建てられた家屋は、旧耐震基準に基づいて設計されており、その設計では、強い地震の揺れに十分に耐えることができませんでした。これにより、倒壊や損傷が多く発生したのです。
◇耐震性を低下させる要因と対策
地震に対する耐性が低い住宅は、特に以下のような特徴を持つ場合に脆弱になります。壁が少ない、開口部が多い、屋根が重いといった設計は、揺れに対して不安定であり、地震の際に倒壊や損傷を引き起こすリスクが高まります。また、昭和56年6月以降に建てられた家屋でも、経年劣化や増改築によって耐震性が低下する場合があります。
特に、建物が凸凹してバランスが悪い場合や、地盤が弱い場合、基礎が十分に補強されていないと、地震の揺れに対して建物が不安定になり、倒壊するリスクが増大します。これらの問題を避けるためには、住宅の耐震性能をしっかり理解し、耐震性の高い家を建てることが重要です。
住宅の耐震性の確認方法は?等級について
住宅の耐震性能を評価する指標として耐震等級があります。耐震等級とは、住宅や建物が地震の揺れにどれだけ耐えることができるかを示すランクです。これは「品確法」に基づく住宅の性能表示制度で定められています。
具体的には、耐震等級が3段階に分かれており、数字が高いほど、建物は強い地震の揺れにも耐えられる能力が高いとされます。では耐震等級のランクと具体的にどの程度の揺れに耐えることが出来るのか、詳しく解説していきます。
◇耐震等級1
耐震等級1は、震度6強から7程度の地震でも倒壊や崩壊はしないことが期待されます。しかし、これは「家がすぐに倒れることはない」という意味で、内部の損傷やある程度の外壁のひび割れなど、一定のダメージは許容されているということです。つまり、大きな地震後、修理や一部の再建が必要となるケースが想定されます。
一方、震度5程度の地震、つまり数十年に一度発生するような地震では、住宅に大きな損傷は生じないとされています。しかし、最低基準をギリギリで満たしている家の場合、震度6~7の地震には損傷を受ける可能性があります。
◇耐震等級2
耐震等級2は耐震等級1の1.25倍の強さを持っていることを意味します。これは、もし震度6~7の大地震が発生しても、建物はその衝撃を受け止め、倒壊することなく、一部の補修で再び生活できる状態を保てると評価されることを意味します。
地震が発生した際に私たちが避難する場所として指定される学校や体育館、また地域住民の命を守る役割を果たす病院などの公共施設も、この耐震等級2以上の強度を必須としており、長期優良住宅においても最低でも耐震等級2以上が必要です。
◇耐震等級3
耐震等級3は、耐震等級1に比べて1.5倍の強さを持ち、震度6~7の大地震が起きてもそのショックを受け止めることができます。そして、地震が発生した後でも、多くの場合は一部の軽微な修繕だけで住み続けることが可能です。
2016年に熊本県で発生した大地震を例にとると、震度7の地震が2回立て続けに起こった際、1度目の地震では多くの建物が持ちこたえたものの、2度目の地震で倒壊した住宅が多数あった中、耐震等級3の建物は2度の大きな揺れにも耐え抜いたというデータが専門家の調査で明らかになっています。
耐震等級3の住宅を建てるための費用とメリット
耐震等級3の住宅は、連続する強い地震に対応でき、安全性が高く、長期的に安心して住める価値があります。費用には審査費用や構造計算費用がかかります。
◇耐震等級3の地震に対する効果と必要性
近年の地震では、一度の大きな揺れだけでなく、続けて強い揺れが発生することが増えています。例えば、2016年に発生した熊本地震では、震度7の揺れが2度も襲いました。このような連続的な強震に対応するためには、耐震等級1の住宅では不十分であることが明確になっています。耐震等級1の住宅は、震度6強程度の揺れに耐えることが求められていますが、震度7のような大きな地震の連続的な揺れには対応できません。
また、耐震等級2の基準で建てられた住宅にも、倒壊や損傷が見られることがありました。震度7の揺れに耐えられるという評価を受けても、家が倒壊しなかった場合でも、内部や外壁に損傷が生じる可能性があります。この場合、家を住み続けるのが難しくなることがあります。
そこで、耐震等級3の住宅は、震度7の連続的な強震に耐える能力があり、損傷を最小限に抑えることができます。耐震等級3は、家が大きく傾くリスクを低減し、長期間にわたり安心して住むことができるため、非常に高い価値を持つといえます。特に、地震が頻発する地域では、耐震等級3の住宅が求められる重要な要素となります。
◇耐震等級3の住宅に必要な費用
耐震等級3の住宅を建てるには、いくつかの重要な費用が発生します。まず、住宅性能評価を受けるための審査費用がかかります。耐震等級3の認定を得るためには、国土交通大臣が指定する第三者機関による審査を受け、その基準をクリアする必要があります。この審査の費用は、審査を行う機関によって異なりますが、一般的に10万円~15万円程度が目安となっています。なお、この審査は任意であり、もし評価書を取得しない場合は、この費用を省略することが可能です。
さらに、構造計算費用も必要です。耐震等級3の住宅を建てるには、その構造が耐震基準を満たしていることを確認するために、詳細な構造計算が行われます。この構造計算は、特に耐震等級2以上の住宅を建築する際に必須となります。計算内容には、住宅の耐震性や安全性を確認するための許容応力度計算が含まれており、その費用は通常20万円~40万円程度となります。構造計算は非常に複雑で、高度な専門知識や高額なソフトウェアを使用するため、この費用が発生するのです。
耐震等級3の家の費用に関するメリット
耐震等級3の住宅は、低金利の住宅ローン、最大50%の地震保険割引、将来的に高い売却価格が期待できます。これにより、長期的な経済的メリットがあります。
◇低金利での住宅ローン
多くの金融機関は耐震等級3の家を高く評価し、住宅ローンの金利を優遇しています。特に、住宅金融支援機構の「フラット35 S」は、住宅の耐震性能によって0.25%〜0.5%金利が低減されるチャンスがあります(2023年3月現在)。
◇地震保険の大きな割引
耐震等級が高いほど、地震保険の割引率が増加します。耐震等級3では、最大で50%の割引が適用されます。一方、等級1の割引は10%、等級2は30%です。ただし、最新の建築基準法に準拠した住宅は、自動的に等級1とみなされ、特別な評価書なしで10%の割引が適用されます。
◇売却価格のアップ
売却時に高い価格で取引される可能性が高まります。中古住宅の購入を考える際、地震に強いという公式な認定がされた住宅は、多少高くても魅力的に映るでしょう。実際、「耐震等級3」の住宅を優先的に探す購入者も増えています。このようなニーズがあるため、高価での売却が期待できます。
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住宅の耐震性能の重要性と耐震等級について説明しました。安全に長期間住み続けるためには、耐震等級3が推奨されますが、その分高いコストが発生します。ご予算や将来の計画に基づき、最適な選択をすることが必要です。
耐震等級1は新耐震基準を満たしているため安全性はありますが、近年の大規模な地震を考えると、耐震等級3の方がより高い安心感を提供します。しかし、耐震等級を上げることで建築費が増加するため、そのバランスを考慮することが大切です。
地震大国である日本において、住宅の耐震性能は重要な要因です。最終的には、安全性とコストのバランスを取りながら、ご自身にとって最適な耐震等級を選択していただきたいと考えます。